視覚障碍者とトレーディング・カード・ゲーム(TCG)

こんにちは。ばんです。
子供の頃、一緒に遊ぶ相手が欲しかった。大人になって夢をかなえた。
今回は視覚障碍者はトレーディングカードゲーム(TCG)で遊ぶことは出来るのかについて考えていきたいと思います。

①知識量があれば出来る

ばんの少ない趣味の中にトレーディングカードゲーム(TCG)があります。
ばんが子供の頃、子供向けの人気アニメはよくTCGになっていました。ばんも大好きでした。
でも、ばんの出身は盲学校。物理的に遊べる相手がいませんでした。

それから20年近くたって、大学の先輩から遊戯王をやっていると話を聞きました。
先輩にやり方を教えてもらって、子供の頃の夢を叶えました。
今もその先輩と偶に遊戯王で遊んでいます。

最近、マジックザギャザリング(MTG)の電子版を遊んでいます。コロナ下だろうが世界中のプレイヤーと対戦できます。
その世界では障碍者だとか健常者だとか関係なく勝ったり負けたりしています。

そんな私だから言います。結論、紙媒体のTCGは知識量さえあれば遊べます。
全盲でも自分のカード名に点字シールを貼って、対戦相手に点字シールを張ったカードを使用する事と、使用するカード名と効果(そのカードで出来る事)は読み上げてもらう事はフリー対戦なら快く協力してくれると思います。
カードの効果は最近は公式のデータベースや有志が作ったWikiを使えばスクリーンリーダーでも確認は出来るはずです。
弱視はカードのイラストと効果を結び付けて覚えられるようにデッキ(ゲーム中に使うカード)とにらめっこしましょう。

②敗北の記憶と経験が強くする

その上で言います。最初はたくさん負けましょう。
どれだけ自分のカードを覚えても、相手は妨害をしてきますし、自分が相手を妨害できるカードを持っていたとしても必ず妨害しなくてはいけないマストカウンターを見逃してしまう事もあります。見えないが故のプレイングミスもたくさん起こります。
私も正直上2つ、勝率がいいとは言えません。ですが負けた経験と知識を積み重ねれば、これらは自然と対応可能になります。

敗北の知識と経験で強くなれるのは「初心者」なら皆同じです。なのでたくさん負けて自分のプレイングもデッキも改善していきましょう。
その上で相手を打ち負かすと気持ちいいですよ。

ちなみに、最近一番燃えた試合は同じコンセプトのデッキ同士の対戦、ミラーマッチです。
相手も自分も考えていることはほぼ同じ。勝敗はどちらが先に膠着状態を切り崩せるカードを加えられるかで決まる。
引いたのは私でした。相手の布陣を崩して一気にゲームセット。運もありましたが、自分が少し強くなったことを実感した瞬間でした。

③視覚障碍者と相性のいいデッキ

さて、遊戯王とMTGの2つをやっていて、視覚障碍者が扱うのに向いているデッキとは何か。
経験を積めば、どんなデッキでも扱いこなせますが、とりあえずカード効果を覚えられていない初心者と仮定して、どちらのゲームでも共通して言える部分があるのでお話しします。

・コンセプトが単純である

強いデッキというのは勝ち筋が何通りもあります。ですが、カード効果を覚えきれていない視覚障碍者は、盤面の変化についていけず、どこで戦術を切り替えればいいか判断が出来ずにどの勝ち筋も中途半端…という状況になりがちなので勝ち筋を1つに絞りましょう。
その上で、「自分がやりたい事」を優先できるコンセプトのデッキを使うといいです。
もう1つ「相手のやりたい事をさせない」戦い方もあるのですが、後者はカードに対する知識が豊富にならないと使いこなせません。ですので、まず自分がやりたい動きと勝ち筋が明確なデッキを使いましょう。

ばんが最初に遊戯王で先輩から教えてもらったデッキの1つは「ライトロード」という、1枚で盤面をひっくり返せるエースを出す為に序盤中盤で準備を固めるという勝ち筋が明確なデッキでした。

・1つの目的を達成する為の道筋が豊富

さて勝ち筋は1つで明確に…と言いましたが、その勝ち筋に至る為の手段は豊富な方がいいです。
勝ち筋に至る為の手段が少ないと、それこそ何もできずに完封負け…という状況になりやすいです。
かといって、勝ちに行く手段がややこしいと前述のようにやりたい事が中途半端になります。なので、同じような事が出来るカードをたくさん積み込みます。

例えば先ほどの「ライトロード」のエースは「墓地」にカードがたくさんあると出しやすいので、エースを出しやすくするために「墓地」にカードを送れるカードを大量にデッキに入れていました。

・相手の妨害に抵抗できる

これまでは「勝つ」為のお話でしたが、前述したようにゲームは負けて覚えるものです。上手な負け方が出来るデッキだと尚良いです。
上手な負け方とは「妨害に対して最大限出来る事をやって負ける」事です。そうすると、相手の動きを多く引き出せて、知識が豊富になります。
知識が増えればデッキや自分自身の改善策が分かってきますので、強くなれます。

先ほどから例えに出している「ライトロード」は、「墓地にカードを送れない効果」を持つカード1枚で簡単に負けます。
ですので、そういった妨害効果を持つカードをどうやって対策するかを考えてゲームをするようになります。

④仕事にも生かせる…かも。

さて、ここまでくどくどTCGの話をしてきましたが、社会人の皆様はなんだか新入社員の時に研修で聞いたような話はありませんでしたか?

P(勝ち筋を考えて、デッキを組み)D(相手と対戦を行い)C(対戦の反省をし)A(プレイングやデッキ構築を見直す)

PDCAサイクルっぽい事を遊びでやっているんです。
将棋やオセロなどと異なる魅力は、相手と同じ駒を使っていないという点です。
必ずしも同じ土俵で戦えないのは社会も同じです。
使っている駒の違いで、理不尽な差を経験することもあります。
1枚数千円するようなレアカードがふんだんに使われているデッキにボコボコにされて、力の差を思い知らされることもあります。
リソースが無い中や手札事故といったアクシデントの中でも最善策を考えて行動します。

仕事の中だとこういった点は分かっていても意識に上りづらいですが、遊びだと意外とシンプルに受け入れられるので、多少なりとも経験値を積むことが出来ます。
“遊び”とは馬鹿に出来ない物なのです。

⑤カードショップへ行こう

ここまで話してきて、少し興味を持っていただいた方はカードショップへ行きましょう。
カードの入手は家電量販店やビデオのレンタル店などでも入手できますが、専門店の場合コロナ下の今は使えませんが、店内で実際にゲームで遊べるスペースがあったりします。
カードゲームは意外と対戦場所に困るので、こういった場所は非常にありがたいのです。
スペースで遊ぶ場合はお友達と行かれるといいかと思いますが、シングルカードの購入などでそのうち1人で行きたくなるものです。

興味のある方は、ナビのリクエストを出してみてはいかがでしょうか?

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