こんにちは。ばんです。
さて、「ナビレコ」とはスマートフォンのアプリでありますが、
タッチパネルで動かすスマートフォンがそもそもどうやって視覚障碍者に普及したのか、そんなスマートフォン黎明期のお話を、当時の若者の視点でお話ししたいと思います。
①スマートフォンが世に出回ったころ
「iPhoneなるものが出回っているらしい。」
今から10年以上前のお話です。ばんは当時高校生でした。
結論から言うと、スマートフォンについてばんの周りの視覚障碍者の高校生たちの反応はこんなレベルで、ほぼ無関心だったといっていいでしょう。
どうせiPodの発展形だろうくらいの認識でいたと思います。
世の中では電車の券売機がタッチパネルになっていたことや、ニンテンドーDSの普及などからタッチパネルの存在そのものは受け入れていましたが、それらが視覚障碍者に扱えるものではないとどこか遠い世界の出来事だと思っていました。
当時の視覚障碍者の中高生たちはガラケーの「らくらくフォン」を持ち歩き、全体の半数くらいがノートパソコンを持ち歩いていました。
正直スマートフォンで出来ることはノートパソコンで大体出来たこともあり、外出時にメールと電話さえできれば良かったのです。
当初のスマートフォンは視覚障碍者の若者の生活に入り込む余地はなかったのではないかと思います。
②大学生からのタレコミ
「LINEが使えないとコミュニケーションが成り立たない」
状況が変わったのは、上記の環境から大学へ出ていった先輩からの情報でした。
健常者の若者の中でLINEが急速に普及が進んでおり、ゼミの相談事のような大学生活の中心にまでLINEでやり取りを行っている為、LINEが使えないことがプライベートのみならず学業でも致命傷になり得ることが分かったのです。
勿論LINEはPC版もあるのですが、PC版を使う為にはスマホ版の利用が必須であり、ノートパソコンだけでは運用できないのです。
結果、大学生として生活するためにスマートフォンに適応せざるを得なくなっていたのです。
ばんも大学進学と同時にスマートフォンを使い始めました。
こうした状況の中、視覚障碍者がスマートフォンを使う為にはどうすればよいのか試行錯誤が始まり、アップル社製品などほとんどの中高生が使ったこともないなか、どうやらVoiceOverという標準搭載のスクリーンリーダーが実用的らしいという事が分かってきました。
結果、ノートパソコンに匹敵する拡充性があって、ガラケー並みに取り回しやすく、標準搭載で優秀なスクリーンリーダーがあるという事から、iPhoneシリーズが支持を集めていった…というのがばんが見てきた大まかな流れです。
③10年の月日
そして今に至る訳ですが、纏めるとやはり「LINE」が若者の中でインフラ化していった流れに巻き込まれた事が大きな転換点になったように思います。
これを良いとみるか悪いとみるかは意見の分かれるところでしょうが、私は健常者の技術革新に障碍者が取り残されなかったという点で良いことだと思いますし、次世代の技術を世間に定着させるためには一定のインパクトが必要になるため、起こるべくして起きた事象だと考えています。
今回、ナビレコは完全に蚊帳の外でしたが、そもそも
ナビレコを動かすハードはどのように定着したかを振り返る機会があってもいいと思い、当時の若者が見てきた視点という事でお話しさせていただきました。
私も皆さんがおっしゃる通りだと思います。スマホは、情報の入手や仕事面での活用など有効な機器の一つになっていると思います。ただ、もう少し使いハードが出ればもっと良いのですが。
なるほど、納得しました。視覚障害の世界で若い人が情報入手やライフスタイルの変化をけん引した、という画期的な出来事ともいえると思います
郷明博 様
コメントいただきありがとうございます。
仰る通りだと思います。もしもLINEの波及が無ければ、私も含めて若手の視覚障碍者はスマートフォンに興味を持たず、結果的には、情報の入手という側面において視覚障碍者全体が時代に大きく取り残されていたかもしれませんね。