視覚障碍者がオーディオゲームセンターに行ってきた【体験レポート】

こんにちは。ばんです。
今回、きだにさんと共に銀座ソニーパークにて行われているオーディオゲームセンターという企画に行ってきましたので、そのレポートといたします。
以下、オーディオゲームセンターのURLです。

https://www.ginzasonypark.jp/program/032/

①視覚障碍者とテレビゲームのおさらい

本題に入る前に、視覚障碍者とテレビゲーム(以下ゲーム)の関わりについて軽くおさらいをしておこうと思います。
ゲームでは主に視覚情報を使って遊びますが、視覚が無くても遊ぶことが出来るゲームは昔からありました。

例えば、有名どころなら「ポケモン」シリーズです。過去のポケモンは障害物にぶつかった時の音を頼りにすれば、見えていなくてもマップを歩くことが出来ていました。
また、ポケモンは1体1体鳴き声が異なり、体力が少なくなると鳴き声が低くなる性質があったので、その音を頼りにバトルを進めることが出来ました。
バトルの進行方法もコマンド式で、そのポケモンの技もコマンドの位置が決まっており、成長すれば何を覚えるか予め攻略サイトなどで知っておけば、入れ替えも問題なく行えていました。
この他にも「太鼓の達人」のようなリズムゲームや「ソウルキャリバー」などの格闘ゲームなど、工夫次第で遊ぶことが出来たものがあります。

少しマニアックなところで言えば、「Phantom-Phantom of Inferno-」というノベルゲームもありました。
通常ノベルゲームはキャラクターのセリフでは無い文章や主人公のボイスが無いのですが、このゲームに関してはどちらもあったため、全盲でもほとんど全ての状況を知ることが出来ました。
音に完全に振り切って特化したゲームとしては「リアルサウンド 風のリグレット」というセガサターン時代のゲームもありました。

ここまでは、視覚障碍者はゲームユーザーとして認識されておらず、あくまでもプレイヤー側が工夫すれば遊べるという類のお話でした。
ですが、最近は障碍者をゲームユーザーとして認知しアクセシビリティを保障する…というゲームも現れました。
以前このブログでも紹介した「The Last of Us Part II」ではアクセシビリティ設定による補正を掛ける事で、全盲にとっては鬼門といえるアクションゲームを攻略することが可能になったという事で話題になりました。

以上がこれまでの家庭用ゲームと視覚障碍者の関わりについてのお話でした。
それらを踏まえて、今回のオーディオゲームセンターに行ってきました。

②オーディオゲームセンターで出来る事

“映像などのビジュアルがなくても楽しめる”音だけのゲームセンター”『オーディオゲームセンター』が登場”(公式HPより引用)

上記のように、ビジュアルを使わずにゲーム体験が出来るというのがオーディオゲームセンターという企画の趣旨になります。
出来るゲームは
・Storytelling Horror Game『幽霊のいるところ』
・Racing Game『大爆走!オーディオレーシング』
・Rhythm Action Game『スクリーミング・ストライクneo』
というゲームです。ここからはきだにさんと行った体験レポートを書いていきたいと思います。

③体験レポート

・Storytelling Horror Game『幽霊のいるところ』

公式サイトにもあるようにホラーゲームとなっています。
方向性としては参加者の行動によって物語や結末が変化するマルチエンディング方式のゲームをイメージして頂ければいいかと思います。

参加者はイヤホンと専用のコントローラー、体験用のスマートフォン(体験中は操作しません)を渡されてブース内へ入ります。
ブース内へ入ると物語が進行し、選択肢として提示される音の方向へ歩いて移動し、コントローラーで意思決定を行います。

ばんの印象としては音を使って全力で背筋を凍らせに来るような、静かなぞくぞく来るような怖さでした。
イヤホンとは別にスピーカーから音が流れているのですが、スピーカーの近くにいればいるほど背筋がぞくぞく来るので、全力で楽しみたい人は選択肢を選んだらブースの壁に背を向けてみてください。

動作としては難しい事は要求されないので、健康面などの条件を満たしていれば老若男女で楽しめます。
但し、ブースを使用する関係で予約が発生しますので、待ち時間を踏まえて行動計画をたてると良いと思います。

・Racing Game『大爆走!オーディオレーシング』

音声で楽しむレースゲームです。
プレイヤーはゲームセンターにあるレースゲームのような車の中を再現したような筐体に乗り込み、ステレオヘッドホンを装着し、手でハンドルを、足でアクセルを操作しながら車を操縦します。

ゲーム中、装着したステレオヘッドホンからガイドとなる音が聞こえてきます。
直線を走っている間は音が中央から聞こえてくるのですが、コーナーに差し掛かると右や左から聞こえてくるようになるので、音の聞こえた方向に合わせてハンドルを操作する事で曲がります。

ガイドになる音以外に別の音が聞こえてフェイントをかけてくるので、単純に音を聞く事だけに集中しているとコースアウトしてしまいます。
コースアウトしたり正しく曲がれなかったりするとハンドルからガタガタと振動が伝わってくるので、ラリーを走っているような気分が味わえます。
レースの実況解説者の声も聞いていると、より自分が今どう走っているか想像がつきやすくなります。

またゲーム内容とは直接関係ありませんが、ゲームをしている自分の写真を見せてもらいましたが、凄くSFチックで雰囲気が出ていました。可能であれば黒いマスクをつけていくと雰囲気が出ます。

・Rhythm Action Game『スクリーミング・ストライクneo』

分かりやすく言えば音を頼りに行う「もぐら叩き」です。
プレイヤーの正面には左、中央、右の3つの筐体があり、ヘッドホンを装着して、音が聞こえてくる方向にある筐体を、太鼓のばちのようなスティックで叩きつけるというゲームです。

ばんは「空飛ぶ瓦編」をやりました。音がした方向の筐体を叩くと瓦が割れる音がします。
序盤はいいのですが、終盤になると音が聞こえてくる間隔が短くなるので、まるで複数方向から音が聞こえてくるような感じがしてきます。きちんと聞いて判断しようとすると間に合わなくなっていきます。
ですので、見た目や思っている以上に難しいです。普段の生活できちんと音を聞こうとする習性のある視覚障碍者はかえって難しいかもしれません。
だからこそ、耳に自信のある人ほどやって欲しいゲームです。

④思っている以上に難易度が高くて楽しい

以上3つを体験してみてその報告を纏めてみましたが、
やらなければならない事は単純で、目が見えていなくても全く問題ありません。
自分のプレイで良かったところも悪かったところもきちんと理解できるシンプルなゲーム性です。

ですが、「よく聞かなければ」と1つの音に集中しようとすると、別の方向から音が聞こえてきて頭の中で情報の処理が追いつかなくなるので、初見では思っている以上にスコアが伸びないと思います。
難しい事は難しいのですが、理由に納得できるので、何度もプレイしてより上達したいと思える心地よい難しさですので、時間と空き状況が許せば何度も遊んでみるといいかもしれません。

2021年7月18日(日)まで銀座のソニーパークで実施していますので、興味がある方は是非遊びに行ってみてください。
必要であればナビのリクエストを出してみてください。

※会場は地下鉄銀座駅から直通でアクセスするルートが簡単かつ安全です。
この場合、GPSを受信できない為案内モードは使えない可能性が高いです。
ナビ作成者は再生モードで使う事を前提にしたナビの作成を、使用者は再生モードでの利用をお願いいたします。

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