ナビレクの日イベント 視覚障害体験会

こんにちは しばです。
今回は、7月9日(ナビレクの日)に開催したイベント
見えないってどんなこと?視覚障害を学ぶ会
から、晴眼者向けプログラム「視覚障害体験」の様子をお届けします!
イベント概要
日時:7月9日 日曜日(ナビレクの日) 13時30分から16時35分
会場:聖書キリスト教会東京教会
参加人数:約40名

体験の流れ

視覚障害体験は、二人一組になって行いました。
人数を数え忘れてしまったのですが
白杖をペアに1本、合計11本貸し出したので
単純計算で22名の方にご参加くださいました。
大人だけでなく、子どももいらっしゃっていて、大変うれしかったです。
さーっと雨が降って曇っていた空も
すっかり晴れて体験日和となりました。

体験の流れはこんな感じです。
①アイマスクで歩いてみよう
②白杖で歩いてみよう
③ナビレクで歩いてみよう
④弱視体験

それでは、体験ごとに振り返ってみます。

①アイマスクで歩いてみよう

アイマスク代わりに配った不織布のマスクで目や顔を覆い
まずは白杖なしで5歩直進してもらいました。
「わぁ、こわい」
「えぇぇーー」
とおそるおそる歩く声もちらほら聞こえてきます。
そんな様子から、私も白杖に抵抗感があった時期に
夕方以降の全く見えなくなる時間帯は
何もないとわかっているはずの道も足がすくんで、怖かったなぁと思いだしました。

②白杖で歩いてみよう

さて、駐車場の壁を背にして、向かいの壁までのおよそ10数歩の半分まで来ました。
ここで白杖を持ち、簡単に左右のスライドと、タッチで振ってみてもらってから
スライドテクニックで今度は歩数ではなく
「白杖が何かにあたるまで歩いてください」
と声を掛けました。
私たちは障害物までの距離なんかわかりませんからね。
誰も壁に激突することなく、無事に体験を終えたところで
ナビアプリ「ナビレク」の出番です。

③ナビレクで歩いてみよう

事前にダウンロードしたナビレク・バリアフリーマップを使って
聖書キリスト教会東京教会から交差点をひとつ渡ってアメディア本社まで
すっかり日が出て暑い中、ナビレクの案内で往復しました。
ペアと一緒ですが、白杖を使ってみた参加者もいたようです。

うまくダウンロードできなかったり、スマホをお持ちでない数名の方は
しばのナビレクで一緒に体験することに。
ナビレクの振動機能に特に興味を持っていただいたので
交差点に差し掛かった時にどんなところにマークがつくか、振動で何をどう判断しているかなどをお伝えしながら
iPhoneを回してナビレクを体験してもらいました。
先導する視覚障害者の私がナビレクの案内で迷わず歩いているのを見て
「すごいね、ナビレクの案内で曲がったりもできるんだね」と言っていただいたので
視覚障害者向けに開発されているナビアプリだけども
「荷物で手がふさがっているときや、歩きスマホにならないのでみなさんにも便利なんですよ」とお話ししました。
見えなくて歩けるナビなら、見える人にも使いやすいはずなんですよね。
ぜひ、見える人もナビレクを使って、歩いてみてくださいね。
そしてぜひ、ナビレクユーザーとしての経験を活かしてマップ作りボランティアにご参加いただけると嬉しいです。
聞き取りやすい、わかりやすい説明などが自然と出てくるようになると思いますよ。

ナビレクを使うと言えば、余談ですが、iPhoneをどう操作しているかも聞かれました。
身近にいないと、iPhoneの画面読み上げ機能「ボイスオーバー」のことなど
一般にはわからないことだらけですから
こうした交流できるイベントは大事だと改めて感じます。
目が見えなくても・見えづらくても、iPhoneを便利に使うことはできるんですよ?
そのためのアクセサびりてぃが備わっています。
興味のある方は、iPhoneの設定→アクセシビリティを開いてみてください。

④弱視体験

みなさんは、弱視(ロービジョン)体験眼鏡をご存じですか。
レンズに加工をして“見えづらい”を再現する眼鏡、ううん、ゴーグル?です。
華奢なものではなくて、目の周りを覆うようなものです。
ナビレク体験のあと、涼しくて少し暗っぽいロビーで体験してもらいました。
この体験は私が入れたいと希望したもので
過去に、今より少し色の薄い、目元が透けて見えるかなくらいの遮光眼鏡をかけて
白杖で点字ブロック上を歩いていた時にかけられた
「目を空けているけど見えていないのかな」
「目ぇ空けてるのにね。嘘なんじゃない」
なんて言葉がとげになって残っていることが背景にあります。
たいていは、知らないからぽろっと出てしまうんですよね。
幸い、攻撃的な言葉や態度は
遮光眼鏡の色が濃くなってからは、ほとんどありませんが
このイベントでは弱視・ロービジョンのことも
「こんな見え方をしている人がいるんだな」と
まずは知ってもらえたらと考えていたので
みなさんが関心を高く持って参加いただけて嬉しかったです。

そして、ちょっとしたフリートークでは
見えなくなったら困ると思うこととして“料理”が挙げられ
・音声ガイドのあるIHがあること
・計った重さを読み上げるボイスクッキングスケールがあること
「包丁は使えないよね」との質問には
確かに包丁は距離感のバグや物が二重に見えたりするのでやめました。代わりに
・はさみで大抵のものは切っていること
・カット野菜を便利に使っていること
をお話しして、火加減など困ったら、目の代わりになってくれるアイコサポートというサービスがあること
などなど、炊事もお菓子作りも好きで今でも作っている私の経験を交えて
知っている情報をお話ししました。
見えない・見えづらいからって、何もできなくなるわけではないんですよね。
もっと知りたい方は
視覚障害 料理
視覚障害 服選び
視覚障害 一人暮らし
こんな感じで検索してみてくださいね。

思わず出た「白杖が頼りなんだね」の声

一通りの体験が終わって3階の会場へ戻るとき
希望者には、目をつむって、白杖で階段を上ってもらいました。
もちろん、簡単にレクチャーはしましたけれども
普段、視覚から情報を得ているので
“段差を確かめる”という未知の感覚にみなさん戸惑われていましたね。
数段だけ、階段を下りることも体験してもらいましたが
やはり降りるときの方がおそるおそるな雰囲気でした。
途中、参加者から思わず出た
「本当に白杖が頼りなんだね」の声が強く印象に残っています。
この発言にはとても意味があると思っていて
実は、前半の白杖体験のとき
誘導でたびたびある白杖の横掴みも体験してもらっていました。
第3の足ともよばれる白杖をつかんで「こっちだよ」と連れていかれることがありますが
白杖からいろいろな路面情報を知ったり、歩くためには白杖が不可欠だったりするなかで
自分の意志に反して動かされる白杖はとても恐怖です。
見える人はちょっと想像してみてください。
道案内をしようとするときに、その人の足首をつかんで引きずっていきますか。
きっとしませんよね。
私はそのくらいのことをされている怖さを感じています。

白杖を掴む人の中には
直接、白杖を点字ブロックや壁に触らせた方が
わかりやすいだろうと思っての行動だったこともあります。
ただ、前述の「本当に白杖が頼りなんだね」のとおり
白杖は大事なものなので
気遣いややさしさにありがたく感謝をしつつ、お願いです。
今後、誘導することがあれば、あなたの肩か腕につかまらせてくださいね。
そのほうが、とっても安心します。

誘導などについてもっと知りたい方は、こちらもチェックしてみてくださいね
日本点字図書館 一緒に歩こう
当日はこちらのリーフレットを配布しました。

日本盲導犬協会 盲導犬に街で出会ったら
当日は盲導犬ユーザーの方のお話もありました。

これで視覚障害体験会はおわりです。

おわりに

さて、いかがでしたか。
体験会のあとには、バリアフリーマップ作成セミナーのミニバージョンを行ったり
アメディアの音声読書器「快速よむべえ」の実演紹介や
視覚障害当事者の講演が続きました。
ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました!
今回お越しになれなかったかたもまたの機会にはぜひ、ご参加くださいね。
それでは、次回の更新をお楽しみに。

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